今日の文芸部はふみふみさんの短編小説を紹介します☆
今日はこのブログでもおなじみの文芸部でした。
毎回皆さんのバラエティに富んだ作品が生まれるのですが、
今日は第1回目から参加してくれている大御所ふみふみさんの短編小説を初☆紹介します!
今日挙がったテーマの一つ「じぇじぇ!(NHK連続テレビ小説で話題のあのコトバです)」をモチーフに、
息子と父の「休日のやりとり」を描いたエンターテインメント小説、ぜひお楽しみください!(^^)v
「国民的!」 ふみふみ・文
「じぇ!」
「じぇじぇ!」
「じぇじぇじぇー!」
これが、イマドキの国民的TVドラマの象徴的言辞である。しかし私は、それを観ることもなく、朝八時になると、即刻囲碁・将棋チャンネルに変えてしまう。私のうちは将棋フリークなので、囲碁の時間帯には、将棋関連のVTRを流すことにしている。しかしそれでも私は、今でもKYON2は可愛いと思う。照れるではないか、何を言わせるのだ。
私のうちは休みの水曜日と日曜日には、日本の国民食であるカレーライスを、お昼に作ることにしている。これが世に言う“カレーライスデイ”である。材料は、ジャガイモ、玉葱、ニンジン、鶏肉腿ブツ切り、バーモントカレー中辛である。ジャガイモの皮は剥かない。ある賢人の言を見習ったのだ。読者諸賢の中にも、そのような方はおられよう。我ながら旨いと言う、自画自賛を、とりあえずしておこう。
そして日曜日には、私たちはNHKEテレの『将棋フォーカス』『NHK杯テレビ将棋トーナメント』と、それからNHK総合の、日本が誇る国民的番組、『のど自慢』を観る。将棋の方は問題ないのだが(愉しく観ている)、困るのは後者である。これを観るようになったのは、私の父が観たいと言ったからだが、その当の彼は半泣き笑いで、涙と洟を盛んに分泌させながら、何度もティッシュペーパーを取りに行きながら観るので、私は非常に複雑な気分にならざるを得ないのである。うーん、と思ってしまう。まぁ、父も八十六歳の年寄りなので、涙もろくなっているのだと思うことにしている。父が反応するのは、①下手でも、頑張って歌うお年寄り、②これを観ているお母さんに何かメッセージは? 的なもの、③お孫さんがたくさんいらっしゃるんですよね? 的なもの、である。歌人・エッセイストのほむほむこと穂村弘氏は、コミックと本の情報誌『ダ・ヴィンチ』の自著インタビューで、のど自慢について、「あれが国民的番組なんて信じられないですよ」と語っていたが、彼の言いたかったことは、のど自慢が究極のお約束番組であるということであろう。そんなんでいいのか? もっと疑え(信じろ)! と言うことであると思われるが、読者諸賢は如何思われるだろうか? しかし年老いてからは、私は父のように、まったく疑うことなく、のど自慢に感動していたいと思う。
これが私と父の余暇である。このジメジメした梅雨の時季こそ、かつて、九十年代渋谷系王子・小沢健二の名曲『夢が夢なら』の一節、“花やかな夏の酔いにまかせて いっそ華火でもいきたいね”のようにいきたいものである。
じぇ、
じぇじぇ、
じぇじぇじぇー!
おわり
二〇一三年六月十八日火曜日
某・国民的テレビ歌番組の「お約束」のシーンに、思わず涙ぐんでしまう父。
それを悟られまいとする父と、見て見ぬふりをする息子の、心理戦がほほえましい限りです。笑
いっしょに見る
番組があるだけでも素晴らしい!
ふみふみです。アップ、有難う御座います。小説というか雑文ですなぁ(笑)。もし小説だったら、エンターテイメントというか、私小説ってとこでしょうかねぇ……(汗)。クオリティが低くてスミマセン! でも掲載、感謝いたしておりますm(_)m 今度はイイのを書きたいです!